2018年2月20日火曜日

ゾンビ&本格の王道「屍人荘の殺人」


                
今村昌弘「屍人荘の殺人」読みました。
2017年の各ミステリ賞で次々1位を獲得し、創元のFBページでもしょっちゅう推されてたので、どんなもんかと思って購入…


ゾンビ物とだけは聞いていましたが、昨今の巷に消費され続けるゾンビジャンルは好きじゃないので「どうせ流行に乗った奴だろう」と思っていたらとんでもない!
ロメロの初期2作のセンチメンタリズムを強く持ちつつ、さらに震災などの時代性なども反映(ゾンビは時代を切り取る!)したなかなかの傑作でした。本格ミステリとしてもいい(最初の事件における盲点には唸る)のですが、とにかく物語の良さが光ります。

もともと、ミステリの「事件が起きるまでの幸せな時間」描写が好きなので、なかなか事件が始まらないところも加点要素(笑)
キャラクターの性格も重層的に書けてはいるのですが、一部女性キャラの区別が付きにくかった(俺だけ?)のだけが、ほんのちょっと残念です。
しかし、デビュー作でこれほどのものを書いてしまうと今後苦労するかも…。