2015年2月7日土曜日

カルトへの予防接種「スクールセクハラ」

「岡田斗司夫案件の参考になるから」と、人に勧められ「スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか?」を買って読みました。
                     
なんだかエロ小説のようなタイトルと表紙ですが、中身は大真面目。
「10年間の取材を経ての渾身のノンフィクション」として話題にもなっています。
百田尚樹の「殉愛」とは大違い!


教師のセクハラ犯罪について章ごとに分け、数件のケースを取り上げていますが、中でも注目すべきは3章の「部活動」4章の「二次被害」で、私はこの部分をセクハラというよりも「カルト教団の手口」として読みました。



もともと学校というのが外界とは違う環境であり、その中でも絶対的な独裁者がいる強豪の部活動。言わずもがなにカルト的性質を帯びてくるのは実に理解しやすい話です。


殴る蹴るが当たり前の環境下で、強度なアメとムチ(ムチムチムチアメくらいの頻度)を繰り返して女生徒を支配していく様子が克明に書かれていますが、特に「巧妙だな」と思うのは、
教師「なぜできないんだ!!」
女生徒「……先生の前でプライドを捨てきれないからです!」
と、自分から言わせるように仕向ける手口で、こうなるとあとはもうひたすら仕上げていくだけ。
「三べん回ってワンと言え」
「指をなめろ」
「先生とお前、どちらが先に床を舐められるか競争だ!」
「服を脱げ」
「先生が死ねと言えば死ねるか」→「死ねます!」(と言って、机に頭を打ちつけはじめる)
となっていき、「正しいこと」ではなく「独裁者の望む返事を先回りして答える」ように調教されていきます。


支配される女生徒側も「嫌だ!」という気持ちが強くあっても「見捨てられる不安感」が上回り結局は依存していく…。
当然ながら、すべてが洗脳成功するわけではないので脱出されてしまうこともありますが、そういった場合には「根性の無い敗北者」などと、カルト内でのみ通じる論理で内部を純化させることも忘れません。


完全に、やってることがセクハラの範囲を大きく超えてカルト教団の領域に達していますが、いま絶賛炎上中の岡田斗司夫も、大体こういうやり方で人を支配していたんではないでしょうかね。



第4章、「二次被害」では、「勇気を持って声を上げた人に対する、周囲からのさまざまな圧力」の例が挙げられます。
「そんな些細なことに時間をかけているヒマは無い」
「妻も子もいるのにそんなことをするはずないじゃないですか」
「そんな重箱の隅をつつくようなことを言っていたら職場がギスギスするだけだ」
「お前があんなことを言うから大好きな先生がいなくなってしまった」
「お前のせいで部活動を指導してもらえなくなった、どうしてくれる」
「アナタも付いていったのでしょう?食事もおごってもらったって言うじゃありませんか」
……などなど、これまた岡田斗司夫が先日退任(笑)したFRE●exですとか、クラウド●ティで声を上げた良心ある人たちに対して行われてきたこととも重なりますね、私の知る限りでは。


とまあ話がそれまくりましたが、スクールセクハラ問題だけでなく、カルトに対する予防接種として一家に一冊置いておきたい良書です。ご興味がありましたらぜひ。