2014年12月10日水曜日

没後21年。「反世界から半世紀 中井英夫展」

今日は中井英夫の命日。
と言うことで、池袋のミステリー文学資料館にて開催中の「反世界から半世紀──中井英夫展」に行ってきました。入館料は300円。
http://www.mys-bun.or.jp/event/index.html
小さなスペースでの展示が予想されたので、期待はほどほどだったものの、いい意味で裏切られる充実の内容でした。
著作の展示や、年表のほか、展示されてたものを列挙しますと…

・眼鏡やトランプ、マグカップなど私物、流薔園の表札、火星の土地予約証(笑)、軍隊手帳(!)も。

・1962年当時の日記や「虚無への供物」構想ノート(万年筆のインクは青)。

・寺山修司や三島由紀夫などと、パーティで撮った写真が数点。

・自宅での集まりの写真なども。笠井潔の奥さんが美人(笑)

・ほぼ構想のみで終わった「黒鳥座XI」の出だしのみ書かれた原稿。原稿には「流薔園 用箋」の名前入り。専用原稿?



他にはいくつかの手紙や色紙、本の装丁に関するもろもろ。
中井先生の字は女性のようなかわいらしい字です。

構想ノートとは別に「虚無」の設定表というか構想表が壁に掛かっていましたが、あまりにも壮大かつ詳細で、見ててクラクラしました…。


あとは、昨年発見され小樽の中井展で初公開された「江戸川乱歩への手紙」がここでも展示。
50年くらい前のものなのに紙は真っ白。良い紙で保存が良かったんですかね?
乱歩への手紙の内容は、会場で買える小樽展のパンフレットにも収録されています。


そして、12月9日、10日のたった二日間限定だった目玉がこれ。
--------------------------------------
史上初「三大奇書」を一堂に!
 ことに今回、中井氏の命日である12月10日(水)と、その前日との2日間限定ながら、九州大学記録資料館および世田谷文学館のご協力を得て、『ドグラ・マグラ』草稿、『黒死館殺人事件』原稿、そして『虚無への供物』草稿が一堂に会する予定。史上初の快挙と自負したい。
 両日以外も、会期中は前2者をレプリカにて展示。また、江戸川乱歩への『虚無への供物』完成報告の手紙も、東京では初めて一般の目に触れるもの。
 そのほか、展示替えも予定されているので、二度三度のお越しをお待ちしております。 
(資料館運営委員/新保博久)
-------------(公式サイトより引用)-------

「三大奇書が一堂に会する史上初の快挙!」ですよ!!
「黒死館殺人事件」「虚無への供物」「ドグラ・マグラ」の生原稿…!
小栗虫太郎はかなり太く力強い字で凄く印象に残ります。

そしてドグラ・マグラの原稿は結構ボロボロ…。最初のページと最後のページが展示されてました、よくぞ残っていたものよ。

ガラスケース内には原稿のほか、三作品の箱入り本が。
「虚無」「ドグラ・マグラ」は、それぞれ著者から江戸川乱歩に献本(署名入り)したもので、「黒死館」は中井先生が所蔵していた物のようです。
そして、「中井英夫旧蔵」を証明するサインを書いているのがなぜか竹本健治!
これはあれですかね、間接的に「三大奇書+1」が並んだ形になったんですかね(笑)

   

とまあ、規模は小さいですが、かつて「ザ・ヒヌマ・マーダー」に触れた者なら必ず満足できる充実の展示となっております。
2015年2月28日までと、会期もまだまだ長いのでご興味のある方はぜひ。