2013年7月3日水曜日

ふたつの円谷本

いくつか本を買ったので感想など。

まずは「高杉さん家のおべんとう」7巻が出ていたので購入。
                       
前巻あたりから顕著でしたが、もうすでにマンガの「キャラクター」を超えて、「人間を描く」領域に入ってますな。
それにしても、帯の「シリーズ累計90万部!!」には逆の意味で驚き。そこそこヒットしててもこんなものなのか…






                       
そして洋泉社ムックの「円谷プロ 怪奇ドラマ大作戦」
豊富な写真、各話解説、不必要なまでに大量の出演者インタビューなど、あまりにも読み応えありすぎな一冊。


これと似たような本だと、かつて「X FILE」が人気あったころ、まるで便乗のように「ウルトラ怪奇FILE」(「これが日本の『X FILE』だ!」という帯の文が恥ずかしかった…)なる本が出てましたが
                       
それとは質量ともに比べ物になりません。
8月発売予定の「円谷SF大図鑑」も期待できそうです。

ただひとつだけ言わせてもらいたいのは「怪奇大作戦」についてはいいかげん「全話解説」という文言を使うのやめてもらいたいなぁ…。いちいち引っかかってしまうよ(笑)



                        
最後に、話題沸騰中(らしい)の「ウルトラマンが泣いている」
円谷プロ元社長、円谷秀明氏の書いた暴露本ですね。


ここに書いてある内容の数々、多少年季の入った特撮ファンから見れば「衝撃の事実」ということもなく、「色々聞いてた話をあらためて確認する」程度でとりたてて目新しい話はないように思います。

冒頭の30ページほど読んだ段階で、ファンであれば100%の人が目を疑うと思われる「かねしろてつお」や、首のすげ替え他、ぬいぐるみを改造して再使用すると言うごく当たり前に山ほど行われていることを「新デザインの怪獣を作る余裕がなく、ゴジラに襟巻きを巻いてジラース」とカツカツな状況の例に挙げたり(それ言い始めたらゴメスは…)といった、「なに言ってんのこの人?!」レベルのおかしな記述が次々と現れ、ココから先の内容に対して、著者寄りの視点で見られなくなってしまいました(笑)


三代目社長の皐(おじ)、四代目の一夫(いとこ)両氏に対する近親憎悪に非常に多くの紙面を割かれていますが、ファンから見て一番大事なものである「作品」に関しては「てれびくん」などで大々的に展開して第三次怪獣ブームをおこした皐氏、平成ウルトラ三部作を出した一夫氏に比べ、著者が社長のときに送り出したものが「ウルトラマンネクサス」では「ダメなのはお前のほうだろ」としか言いようがありません。


また、かつての放漫経営の数々を詳細にあげて告発する一方。著者がやった業績としてあげられるのが「ビデオの企画を出してたくさん売った」や「池袋サンシャインシティのカメラ屋で使い捨てカメラを買い占めて、ウルトラマンフェスティバルの会場に並べたらあっという間に売り切れた」と、なんとも小物感ばかりが漂いすぎな気が…。


タイの例の会社との訴訟合戦についても書かれています。
そういえば10年ほど前に、某トークライブで「皐さんが社長時に、酔っ払って書面も見ずにタイ語の契約書にサインしちゃったら(略)」と耳にしたことがありますが、真偽はともかく非常に「らしい」話なので私はけっこう好きです。
関係者としたら、たまったもんじゃないでしょうけど。