2013年2月14日木曜日

ナニ考えて映画作ってんの? 三宅隆太と継田淳の脚本家ガチトーク Vol.7

2月12日、ロフトプラスワンが映画秘宝のイベントで盛り上がる裏、ひっそりと阿佐ヶ谷ロフトAで行われた、
「ナニ考えて映画作ってんの?三宅隆太と継田淳の脚本家ガチトーク Vol.7~原作モノとオリジナル企画、脚本家が苦労するのはどっち?~」を観てきましたよ。


前回からわずか1ヵ月後の開催。以前にも秘宝の裏でやった事がありましたが、意図的なんでしょうか…?(笑)


今回のテーマは「原作もの」について。
「原作があれば脚本ラクなんじゃね~の?」
「マンガだったら絵コンテまで出来てるじゃん!!」
…と思われがちだしよく言われるけど、そうじゃない!てな話です。


よく「原作に比べて映画はちょっと…」な例として、スティーブン・キングを例に出してのトーク。

結局のところ、小説の得意とする「内面的葛藤」と、映画の得意とする「外面的葛藤」がもともと対照的なものであり、内面的葛藤を無しにして入れ物だけ残してしまうと「『シャッターの内側にタコの足が入ってくる』…こんな映画だっけ?」という有様に(笑)


第二部では実例をあげて検証ということで、2010年に両人が監督、脚本をつとめた
「怪談新耳袋 百物語」を、原作、映画両方を見て解説。

企画が、
・アイドルグループ「bum.p」を主演に
・4分50秒(タイトル、スタッフクレジット含めて5分)ピッタリに収める
・1日2本撮り
・撮影時間は1本6時間まで(メイク・衣装換え含む)
と、それぞれになかなか厳しい条件の課せられた中で、どう原作を料理したか。


継田淳監督「隣りの女」

三宅隆太監督「帰宅」(「桜庭ななみで行ってくれ」というオーダーだった模様)
※桜庭ななみは、このころだと「ふたつのスピカ」のちょっと後くらいでしょうか。
視聴率的には振るわなかったけど、質は高かったし、桜庭ななみ、高山侑子、あだっちー。とみんなそれぞれ活躍してて嬉しいですな。


一見、どちらも原作を大きく変えたように見えますが、「道具立てや舞台が変わっても、本質がそのまま残っていればそれは変えたことにはならない」というのが三宅さんの主張。
なので、「変えたね」と言われると「そうかな?変わってないけどな~」とちょっと不本意なご様子。

うーん、主張は解らないことも無いのですが、観るほうに対してはあまり伝わらないんじゃないかと言う気はします…。

結局のところ、原作があろうがなかろうが「自分の中の火種をいかにつけるか」で、「どっちも苦労する!」という特に意外性のない結論に(笑)
まあ結論はこんなですが、そこに至るまでのトークはかなり深くて引き込まれっぱなしでした。

途中で「スクリプトドクター」のお仕事内容「煮詰まった脚本のヘルプに入った時は、まず出来ている本(+あるなら原作)を時系列順に並べなおしてフローチャートを作る。そうするとミスをしている場所がわかる」なんてことも聞けまして満足満足。文字通りの再構成ていうことなんですねぇ~。


次回vol.8は「無人島に持っていくにはどんな映画?」の予定。
正直、あまりそそられない感じですが話しは面白くなると思うので都合があえば行きたいものです。