2012年9月13日木曜日

「奇っ怪紳士!怪獣博士!」大伴昌司の大図解展


この夏話題の「特撮系展覧会」ですが、特撮博物館、ウルトラマン・アート展に続いて
東大近くの弥生美術館でやっている「『奇っ怪紳士!怪獣博士!』大伴昌司の大図解展」に行ってきました。弥生美術館、小さくて古いですけどなかなか雰囲気のある佇まいです。
特別展だけでなく、竹久夢二美術館および高畠華宵(よく知らないけど)の作品群も見られるのがお得ですね~。
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/exhibition/yayoi/now.html

規模は小さいのですが、かなり充実の展示でした。
数ヶ月前に発売した、『怪獣博士! 大伴昌司 ---「大図解」画報』(良書!)で紹介されている内容(発表当時の怪獣図鑑や雑誌、原画など)の実物がそのまま展示されています。
                        
まあこれを読むと、観に行かなくても内容がほぼ網羅できてしまうのですが(笑)、やはり生の原稿はオーラが違いますね!(大きいし)



しかし、「怪獣ランド」なんていま見たらイラっと来るかと思いきや、実にほっこりとした気分になりました。「チブル回転ブランコ」「ブルトン迷路」「バルンガ気球」
…すべてが愛おしいもんです。
「ツインテールはエビの味」「ゼットンの火炎は一兆度」など、超有名なものはもちろんですが、
・メフィラス耳→5万光年離れたところで喋っている悪口が聞こえる。
・カネゴン→1日に食べるコインは3520円
・レッドキング→レッド脳。赤い色をしている、怒りっぽいがバカである。
・ゼットン点火液ぶくろ→放射能に火をつける
とか、今でも覚えている幼少期に胸を躍らせた数々の雑誌や、下書き段階の生原稿が目を楽しませてくれます。
怪獣の体内には、必ず何か特別な「ふくろ」があると思ってたなぁ…


1階は怪獣関連でしたが、2階はSF、ミステリー、ホラーの仕事を紹介。
といっても、発表されてた雑誌媒体は怪獣と同じところだったりと、当時いかに大伴昌司の影響力が大きかったかがわかります。

いまの「少年マガジン」を見ると、大体はアイドルのグラビアが表紙を飾っている訳ですが、このころは「世界の秘境」とか「恐怖の未来」とかそんなんばかり。
70年代生まれだったらギリギリでこの感覚がわかるかもしれません(笑)
「007は二度死ぬ」特集時の図解に付けられた「からだじゅう武器だらけ、スパイ野郎!」というフレーズのあまりのすばらしさに驚愕しました。

怪獣関係以外に「これは来て良かった!」と思った収穫は、ミステリ関連の仕事がかなり紹介されていたことですね。

「江戸川乱歩の妖異パノラマ館」て、このイラストだと「魔術師」のワンシーンでしょうか…?
江戸川乱歩はまだ解るのですが、小栗虫太郎まで少年マガジンのカラーで紹介されてたかと思うと、不勉強な身としては驚きます。いまではカルト作家としてしか扱われないのにね~。

ディクスン・カーや小栗のファンで、ミステリ関連の活動時代にはペンネームは「伴陀韻」と言うのには思わず苦笑。江戸川乱歩と全く発想が同じですな。

怪獣関連目当てで観に来ましたが、意外な驚きも多くて楽しめます。
今月末で終了ですが、時間のある方はぜひ。